大腿骨骨折のリハビリと骨粗鬆症 | 過度な安静は廃用症候群のもと
高齢者の骨は骨粗鬆症が原因となり、骨折が起こりやすくなっている場合があります。
骨粗鬆症の状態で転倒すると、大腿骨骨折や腰椎圧迫骨折が起こります。
そして実際に大腿骨を骨折して入院し「安静」にすることによって、筋力の低下と合わせて更に骨粗鬆症が進行します。
安静にした状態でいると、1週間で15%~20%程度の筋力低下が起こります。
問題としては、高齢者が大幅に落ちた筋力を取り戻すこと、及び進行した骨粗鬆症の改善が容易ではないことにあります。
意味のない「安静」は、骨粗鬆症の進行と急速な筋力低下を招き、廃用症候群へとつながります。
入院した場合には、寝たきりでいると身体が弱ってしまうために、可能であれば座っていることを薦められます。
しかし、実際には座っているだけでは不十分であり、筋肉を使うという観点から見れば、ただ座っている状態は「安静」している状態とさほど違いはありません。
入院した場合でも、骨折した側の脚が痛む場合は無理なリハビリはいけませんが、可能な状態と環境であれば積極的にベッドサイドで立ち上がり訓練を行うなど、行える運動を早期から行っていくことが重要です。
立ち上がり訓練も有効なリハビリになりますが、合わせて歩行器、手すり、杖 (T杖、四脚杖) などを利用して安全を確保し歩行することにより、健側に適度な体重をかけて鍛えることも有効的な手段です。
骨粗鬆症を防ぐには、食生活の改善と歩行などの運動を充分に行うことが重要です。具体的には、骨に体重をかけることによって骨が反応して、栄養を吸収し、骨が強くなります。日々の食生活と運動が重要です。
骨粗鬆症 | ビタミンD・カルシウムの吸収
骨粗鬆症とビタミンD、およびカルシウムは密接に関連しています。運動やリハビリと同等に食べる (吸収する) ことは重要です。
下記にビタミンDに関する情報と、ビタミンDを含む食品を記載しています。
● ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収と骨からの骨塩吸収を促進し、血中のカルシウム濃度を上昇させる。
● ビタミンDは十二指腸から吸収され、肝臓、腎臓を得て活性型になる。
● ビタミンDを過剰に投与すると高カルシウム血症になり、副作用 (悪心、嘔吐、けいれん、昏睡) が現れる。
● 体内ではビタミンDと上皮小体ホルモンとが密接な相互作用をする。
※ 上皮小体ホルモンは骨を溶かし、血中カルシウム濃度を上げる。腎臓ではカルシウムの再吸収を促す。
上皮小体ホルモンの分泌は、血中カルシウム濃度により調節される。腎臓ではビタミンDの活性化を促し、活性型ビタミンDは上皮小体ホルモンの分泌を抑える。
● ビタミンDが欠乏すると、小児ではくる病。成人では骨軟化症を発生する。
● ビタミンDは骨軟化症、骨粗しょう症の治療に用いられる。
ビタミンDが豊富に含まれる食品
きくらげ類
あんこうのきも
いわし かわはぎ 紅鮭
しろ鮭 煮干し しらす干し
などに豊富に含まれています。
ビタミンDをバランスよく摂取しましょう。
大腿骨骨折 退院直後のマッサージ治療とリハビリ | 過度な安静は廃用症候群のもと
患者ご家族から、「ケアマネージャーから訪問マッサージのことを聞いて連絡した。活動的だったが、大腿骨骨折後、食欲も落ちてしまいほとんどベッドから動かなくなったので、訓練、歩行をお願いしたい。」とのご依頼でした。
不安定さは見られましたが、元々身体がお強い方で、基本的な下肢訓練と歩行訓練を積み重ねることにより (肩甲帯、腰部の指圧・マッサージ、下肢訓練、歩行訓練を行い、施術時間は40分) すぐに活動的な状態に戻られました。
早期回復の要因は、元々下肢がお強いことに合わせて、リハビリのご依頼をいただいたのが、骨折入院した病院からの退院直後であったことが大きな要因でした。
ご本人は腰痛の方を気にされており、腰椎には変形が見られていました。腰椎の変形に合わせて、周辺の筋肉も偏りが見られました。
長期に渡って腰部のマッサージ治療とストレッチを継続した結果、筋肉の偏りは緩和されましたが、慢性的な腰痛は大幅には改善されませんでした。
慢性的な痛みは大幅に改善されませんが、毎回、腰部のマッサージと指圧を十分に行い「もっとやってください」と喜んで下さっています。
大腿骨頸部骨折後遺症のリハビリ | 歩行訓練 転倒予防運動
大腿骨頸部骨折後後遺症の症状をもつ練馬区在住の患者様で「肩が痛いから、どうにかならないか」とのご依頼でした。
「肩が上がらず、痛みもあり、着替えも手間がかかる」とのことで、肩のリハビリとマッサージ治療から開始いたしました。
介入当初から、大腿骨頸部骨折後の影響と考えられる、明らかな下肢の不安定さが見られたために、 (大腿骨頸部骨折後1年経過) ご本人としっかりお話をしながら、下肢のリハビリを重点的に行いました。
結果的に、肩については、少し上がるようになりましたが、痛みは緩和されず、その後も効果は上がりませんでした。
一方、下肢のリハビリ (各抵抗運動、歩行訓練、転倒予防運動) とマッサージ資料には効果が見られ、とてもお喜びになられて、こちらを重点的に行う流れとなりました。
お一人では難しい股関節の介助運動と抵抗運動、会話を楽しみながらの自動運動、立ち上がり訓練と歩行訓練を、習慣的に繰り返し行いました。
股関節の可動域を時間をかけて広げていき、股関節に関連する全方向への動きと筋肉を鍛えてゆくこと、そして立ち上がり訓練、歩行訓練などの、体重をかけた全身運動を継続することにより効果が表れました。
また、患者様の状態として、「右のつま先が上がりづらい傾向」がありましたので、膝を伸ばし、つま先をしっかりと曲げ伸ばしする運動も継続して行いました。
結果的にご家族が大変お喜びになられるほど、歩行状態に改善が見られました。
初期は40分程度の施術時間でしたが、すぐに種々の訓練に積極性が見られるようになり、施術時間は60分まで伸びております。