高齢者が骨折したら | 立ち上がり訓練 スクワットの重要性

高齢者が骨折したら | 立ち上がり訓練 スクワットの重要性

 

高齢者が骨折したら | 立ち上がり訓練 スクワットの重要性

介助者として、在宅の現場で訪問マッサージ(リハビリ、機能訓練)を行ってきた私自身の経験と、高齢者である島田とみ子さんのリハビリ体験記「転んだあとの杖」の内容から、「立位保持訓練と歩行訓練の難しさ、立ち上がり訓練 (スクワット) の重要性」について記載していきます。

  
  

  

引用元 : 島田とみ子『転んだあとの杖ー老いと障害とー』(未来社・2000年・32頁14行目以下・35頁7行目以下)

立ち上がって静止をできるだけ長くやるのは最もむつかしい。訓練室の時計の針をにらみがら、はじめは1分間の静止がやっとだった。(中略) 五分立てるまでに私は二カ月以上もかかった。

二本の足で歩くことが、こんなに難しく、人間にとって貴重であることを私は身にしみて知った。

  
  

高齢者が骨折などをした後に、愕然としてしまうほどに「立って静止すること (立位保持訓練) 」と「普通に歩くこと (歩行訓練) 」が難しくなるケースは多く見られます。


立って静止すること、普通に歩くことはそれほど高機能で、無意識の中、多くの筋肉と関節が連動してバランスがとられています。


人の身体は生まれついてから、精密機械のようにバランスがとられていることから、意識せずとも、簡単に2足歩行を可能にしています。

  
しかし、一旦、骨折や筋肉のケガによって大きくバランスが損なわれると、「立つ」こと、および「歩く」ことは難しい動作になってきます。

  
特に、筋力が著しく低下した状態でリハビリを開始すると、筋力が戻りにくいのと同時に、バランスを失っているところを筋力でカバーすることが出来ず、リハビリに手間取る傾向にあります。

  
中でも、一旦バランスを崩した方にとって、完全に自立した形での立位保持と歩行は難しい動作です。

しかし早期にリハビリを開始することによって、人間の身体は難しい訓練にも早期に対応していきます。

  
このことからも、「リハビリは早期に開始するべき」と言われています。

  
ある程度、筋力が保たれている状態でリハビリを開始すれば、バランスを失っていたとしても、身体が新たなバランスのとり方、身体の使い方で対応していきます。


 

  
  
  
  

高齢者の骨を必ず強くする | 立ち上がり訓練 スクワットの重要性


骨折をした後、脳梗塞をおこした後にリハビリを行うとき、可能であれば下肢の筋肉を使うことを積極的に行っていくことが必要不可欠です。


そのような状況の中で、ベッドサイドなどで比較的安全に、休憩をとりながら何度も繰り返し行えるのが立ち上がり訓練 (スクワット) です。


立ち上がり訓練(スクワット)は、下肢の筋力だけでなく、骨に重力(体重)がかかることにより、骨を強くします(骨密度を上げます)。この事は科学でも証明されています。

同時に、背筋、腹筋などの体感の筋肉とバランス感覚も十分に鍛えることができます。

傍で見ていると、ベッドサイドで立ったり座ったりしているだけに見えますが、見た目より遥かに効果があります。

  
つかまりながら立ち上がることからはじめて、バランス感覚を養いながら徐々に自立を目指します。

  
立ち上がり訓練 (スクワット) は休憩をはさむなどしてマイペースで継続して行っていくことが重要です。

  
シンプルな訓練ですが、繰り返し行うことで大きな効果が生まれます。


筋力が著しく低下した方が、ただマット運動や関節運動 (ROM訓練) を繰り返すよりも、立ち上がり訓練 (スクワット) を繰り返し行うことで下肢の骨と筋力が鍛えられます。

身体にしっかりと体重をかけることで筋肉と骨が必ず鍛えられます。

  
  
  
  

高齢者の筋力と骨密度の低下のスピード | 過度の安静は取返しがつかない事態に 早期にリハビリを開始することが重要

筋力は、まったく使わない状態でいると、1日に3%程度、1週間で20%程度、筋力が低下すると言われています。


私自身がリハビリのために週2回介入している高齢者が熱を出し、2週間リハビリを中断した後、再びリハビリを再開したとき、誰もがすぐにわかるほど脚が細くなっている、ということは日常的にあることです。


また、筋力の低下と共に、2週間で股関節や膝、足首、肩甲骨の周囲などの関節の拘縮も見られるようになり、あわせて骨密度の低下が起こり、骨粗鬆症の引き金になります。

  
それほどに「体重をかけない」「筋肉を使わない」でいると、すぐに症状となって表れてきます。

  
2週間程度であれば、十分なリハビリをしばらく行えば、筋肉や関節の状態は元の状態に戻ります。

しかし、何カ月もまったく動かさない状態でいると、後遺症、廃用性症候群となって症状が残ってしまいます。

  
いまだに病院などでは、ケガや骨折、脳梗塞や脳出血を起こした高齢者に対して、過度に安静をさせて回復する機会を奪ってしまうケースが多くあります。

  
「安静にしてないと危ない。痛みもぶり返す」

こういった言い分は、単に病院や施設側の人員不足 (リハビリに人員を回していない)や、余計なケガをしてもらっては困るという病院側の都合に過ぎないケースも非常に多く見られます。

  
本当に安静が必要な場合や強い痛みがある場合は、当然安静にするべきですが、リハビリが可能な状態であれば、早々にROM運動や立ち上がり訓練、歩行訓練を行うことは患者にとって必要不可欠です。


ケガや骨折、脳梗塞をおこした高齢者の予後を考えると、リハビリができる状態であれば、とにかくリハビリを早くやった方がいいというのが実際です。

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