訪問マッサージの不正請求について | 訪問マッサージ業者 老人ホーム ケアマネージャー 医師が癒着して行う不正請求
まずは、下記の共同通信社 (記事➀) および佐賀新聞ニュース (記事➁) による記事をご覧ください。
記事➀
引用元:2016年10月26日 (水) 共同通信社
モラル低下、業者荒稼ぎ 医師やホームと結託も「表層深層」マッサージ費用不正9億円その他マッサージ、はり・きゅうの療養費(治療費)を狙った「高齢者ビジネス」が横行している。老人ホームなどで多数の患者を紹介してもらい、1度の訪問で出張料(往療料)を荒稼ぎするなど手口は巧妙。高齢化の進行で患者が増え続ける中、事業者のモラル低下に歯止めがかからない。
▽ATMのよう訪問施術を受け入れてもらうため有料老人ホームの事務長に月10万円のリベート、不正が発覚しないようホーム職員と口裏合わせ…。
2012年に和歌山市内の事業者が療養費の返還を求められたケース。75歳以上の人が加入する和歌山県の後期高齢者医療広域連合の調査では、こんな実態が明らかになった。
実際にホームを訪れたのは1人だけだったが、3~4人が施術したことにして、出張料を水増し請求。保険適用に必要な医師の同意書は、ホームと協力関係にある医師が押印した白紙の書類を用意し、施術者側が勝手に作っていたという。不正に受け取った療養費は約1億1千万円。事務長への”袖の下”にも、国民の保険料や税金が間接的に回っていた形だ。
多額の不正受給は今年に入ってからも、静岡県で約6700万円の事例が発覚。ある広域連合の元職員は「会社員の健保組合に比べると、広域連合のチェックは甘い傾向にあり、一部の事業者からは申請書を送ればお金が出てくる現金自動預払機(ATM)のように見られている」と話す。
▽無料体験多くの関係者が問題視するのが、ビジネス目的で参入してきた新規の事業者だ。「経営者が『もうかりそうだ』と目を付けて、マッサージ師などの資格がある人を多数雇い、巧みに制度の抜け穴を突いている」(マッサージ師団体幹部)。広域に展開するチェーンやフランチャイズもある。
「無料体験」で患者を獲得する手法も広がっている。関西地方のマッサージ師は「業界では、保険が適用されるケースでも、あえて患者負担分を徴収しないことがよくある」と証言。75歳以上の患者は原則1割を負担するが「健康保険から9割分の療養費が入ってくれば、利益を出せるからだ」と明かす。
だが患者の一部負担金は健康保険法などで定められ、徴収しないのは本来なら違法。患者が「タダなら受けたい」と考え、不要な施術を招く恐れもある。
▽主張が対立マッサージ、はり・きゅうの療養費はここ数年、大きく伸びているが、整骨院などの柔道整復に比べるとまだ4分の1ほど。規模が小さく、問題が見過ごされてきた。
制度的な不備もある。マッサージなどの療養費については、施術者の指定・登録や行政の指導監督権限が法令で定められていないため、チェックが行き届かない。厚生労働省は不正防止策を検討しており、近く工程表を示す方針だ。
療養費は本来、患者が全額を支払った後、健康保険に自分で請求する仕組み。ただ患者の負担が大きいため、施術者側が代わりに請求する「代理受領」が広く認められている。
全日本鍼灸マッサージ師会の往田和章(おおた・かずあき)副会長は「行政側が施術者と契約を結ぶ正式な制度に変え、指導監督する形が適当だ」と提案する。厚労省も同様の考えだが、健保組合などは「すでに同様の制度を取り入れている柔道整復師の療養費でも不正は続いており、対策に逆行する」と反発し、主張が対立している。
2016年10月26日 (水) 共同通信社
記事➁
引用元:2017年1月19日 (水) 佐賀新聞ニュース
専用ソフトで発覚逃れ マッサージ療養費不正受給全国で約9億5千万円の不正受給が明らかになったマッサージなどの療養費。悪質な事業者は行政のチェックが緩いことを巧みに突き、荒稼ぎしている。
過大請求がばれないよう専用のコンピューターソフトを使用、書類の日付も改ざん-。首都圏でマッサージやはり・きゅうを手がける会社に勤めていた元社員の男性が、共同通信の取材に具体的な手口を明らかにした。【共同】
■元社員が手口証言「医療費と高齢者食い物」
男性によると、この会社は約30人の施術師を抱え、協力関係にある別の会社が経営する数十カ所の有料老人ホームから患者を紹介してもらっていた。過去には見返りに1人当たり1万円の商品券をホーム側に提供したことも。計500~600人の患者がおり、多くの患者が週3回程度、訪問施術を受けていた。
1人の施術師が1回の訪問で複数の患者を治療しても、出張料(往療料)は本来1人分しか受け取れない。しかし同社では複数の患者分を請求。請求先が偏れば不正が発覚する恐れがあると考え、専用ソフトを使い、後期高齢者医療制度を運営する都道府県単位の広域連合に1人分ずつ割り振っていた。
例えば、ある老人ホームで3県から入居している計9人に施術した場合、ソフトで各県から自動的に1人を選び、それぞれが加入する広域連合に出張料を請求。計3人分を受け取る仕組みだ。
広域連合間で突き合わせる仕組みはなく、月に200万~600万円の出張料を不正に受給。男性は過去約5年間で約2億円と推計する。
このほか、施術に健康保険を適用するには医師の同意が必要だが、同意書の有効期限が切れた後、再同意を得るまでの空白期間に行った施術についても、書類の日付を有効期間内にずらして療養費を請求。この手口でも月に数十万円から100万円を不正に得ていた。
■行政チェック甘く荒稼ぎこの事例は今回の厚生労働省の調査結果には含まれていない。男性は「医療費と高齢者を食い物にする卑劣な行為だが、チェックの仕組みがなく、やりたい放題になっている」と話した。
2017年1月19日 (水) 佐賀新聞ニュース
上記の記事にも記載されていますが、私自身が現場で知り得た中で、多く見られる訪問マッサージの不正請求の形としても、訪問マッサージ事業者と老人ホーム (運営者、ケアマネージャーなど) 及び医師らが、実質的に癒着して、訪問マッサージの不正請求を行い荒稼ぎしているケースです。
ビジネスという言い方をしていますが、実態は文書偽造を主とした単なる犯罪、詐欺行為でしかなく、その規模と金額は多くの人間を一挙に巻き込んでいくほどのものになっています。
不正請求が拡大していく要因として、1人の人間が不正請求によって得られる金額が一定の金額を超えると、肩書き (老人ホーム運営者、介護事業者、ケアマネージャー、医師など) に関わらず、不正請求に関わる人間がきわめて多くなる現実があります。
訪問マッサージの不正請求詐欺は、不正請求と患者紹介料 (リベート、キックバック) のばら撒きが主流となっていますが、それらに関わっている多くの人間は、不正請求に関わって得られる金額と、摘発された場合の処分の結果 (甘さ) を知った上で不正請求に関わっているのが実情です。
健康保険を利用した訪問マッサージ事業を行っていれば分かることですが、既存の訪問マッサージ事業者に、詐欺、犯罪に対する抵抗がなければ、すぐにでも不正請求で儲けられるのが現在の訪問マッサージ事業です。
共同通信社の別の記事にも記載がありますが、全国で発覚した訪問マッサージ事業者による9億の不正請求はごく一部に過ぎず、これは現場の訪問マッサージ事業者から見ても間違いのない事実です。
東京と埼玉の訪問マッサージ事業所が行う不正請求額を合わせるだけで、9億を遥かに超えている事実があります。