高齢者と交流と会話 話をする 話を聞く コミュニケーションの重要性

高齢者と交流と会話 話をする 話を聞く コミュニケーションの重要性

高齢者と交流と会話 話をする 話を聞く コミュニケーションの重要性

高齢者と交流と会話 話をする 話を聞く コミュニケーションの重要性

介助者として、在宅の現場でリハビリ業務を行ってきた私自身の経験と、高齢者である島田とみ子さんのリハビリ体験記「転んだあとの杖」の内容から、「交流と会話・話をする・話を聞く (コミュニケーションの) 重要性」について記載していきます。

  

  

引用元 : 島田とみ子『転んだあとの杖ー老いと障害とー』(未来社・2000年・13頁3行目以下・15頁14行以下)

こんな私にも、障害を忘れる幸福な時間がある。椅子にかけて机に向かい好きな本や俳句を読む時だ。痛みもなく、障害は念頭を去り、本の面白さにひきこまれる。

人間にとって生きる喜びは、友情や、さまざまな人々との接触から生まれる。新しい知識や発見が大きな刺激となって、未知の世界が開かれる。(中略) 開かれた社会、自由な交流が何よりも大切だ。

  
  

上記の事柄は、高齢者に限らず、人がリハビリや医療行為を行う上で重要な要素であり、在宅でリハビリ業務を行う私にとっても自らの経験と一致する事柄です。


人間はどのような状況にあっても「したいことをする」及び「ユーモア」を求めている場合が多く、それらは目的となって身体と精神に非常に良い影響を与えるようです。


在宅で療養されている方々が必然的に「したいこと」の中には多くの場合、会話が含まれています。


私自身も在宅でリハビリやマッサージ治療を行う際に、時事の話、趣味の話、人間関係の話、疑問に思うことなど、利用者の皆様と何でもお話しをします。


患者様の会話量は非常に多く、会話をすることによって、とてもリラックスされていること、楽しまれていることが分かります。


患者様の中には、「会話をするのがとても楽しいんですよ」「今日はリハビリよりもっとお話しをしましょうよ」「次回は〇〇についてお話ししましょう」と具体的な感想を述べれられる方も多くいらっしゃいます。ともかく皆さん沢山お話をされます。


私自身、自らも会話を楽しみ、疑問に思ったことを聞き、ときには本当の悩み事についての話をすることもあります。

私が介入している患者に、認知症状をもつ話好きのAさんがいらっしゃいます。Aさんは人間関係についてのお話しをよくされる方です。


当時、私は仕事上の悩みを抱えていましたが、いつもと変わらずAさんとお友達についてのお話しやご家族のお話しをしていました。

  
しかし、お付き合いも長く、穏やかできっちりした性格のAさんに現在の心境の一端をぶつけてみようと思い

「Aさん、人を騙してお金儲けをする人間て、どう思われますか?」とAさんに問いかけました。

  
すると仰向けで天井を見ていたAさんの表情が一変して、Aさんの脚をマッサージしていた私の目をじっと見て

「それはだめ。うん。結局全部自分に返ってくるんだから。嘘はだめよ」と率直に述べられました。

  
言葉そのものよりも、Aさんの反応の速さ、一変した表情と目、そして口調に強い意思と思いやりが感じられ、難しい状況にあった私は思いがけず何とも言い難い気持ちになったことを覚えています。

  
リハビリを繰り返すうちに、Aさんは「リハビリね、お待ちしておりました」「次はいつ来てくれるの」「お話し本当に楽しかったですよ」と度々お声をかけてくださるようになりました。

  
施術者であり、リハビリの介助者である私自身が、在宅で療養されている多くの方々と楽しませていただいている、また、本当に助けられている事実があります。

  
また在宅においては「介護される側」と「介護する側」の心情や視点もまったく異なるために、患者であるご本人とのコミュニケーションと同等に、ご家族の心情や状況を考えて行動する必要があります。


在宅の患者様、そしてご家族の皆様と、本音を含めた多種多様な会話を行うことは短期的な視点からも長期的な視点からも重要と考えます。


 

  
  

会話とコミュニケーション 脳と身体への影響

高齢者の会話にはの血流を活性化させ認知症を予防する効果があるという調査結果が出ています。


調査するまでもなく、長期的に誰とも会話をしない状態と比較すれば、人と顏をあわせて多くの会話をして脳を働かせていた方が脳に良いことは間違いありません。

しかも、コミュニケーションの効果は想像以上に大きく、誰とも話をしないなど刺激が無くなると、認知機能が低下するスピードも、あっという間というケースも少なくないようです。


私自身が在宅で訪問マッサージ業務(リハビリ、マッサージ治療)を行う際は、趣味や時事の話、何でもないお話しを日々行っております。


そんな中でも、ご本人が不安に思っていること、疑問に思っていることや現在の状況を踏まえての心境などのお話しをすることも多々あります。


在宅で業務を行ってきた経験から、在宅の患者様にとって様々な会話と笑うことは、精神面への作用にとどまらず、物理的、科学的 (脳への影響) な視点からも重要と感じております。


ある患者様は長期間、外に出ていませんでしたが、私が介入して様々な会話をするようになってから、「外に出てみる」と外出されたケースがあります。


また、様々な要因から口が激しく (悪く) なり、笑顔が少なくなっていた患者様が「目に見えて穏やかな面が出てきて、よく笑うようになった」というケースもあります。


このような変化を何度も目の当たりにしていると、私自身の介入が「患者の精神面へ影響した」という表現よりも「患者の脳へ物理的な影響を与えた」 (2つは結果的に同じことかもしれませんが) という言葉のほうが当てはまるように思います。

上記の患者様に対して私が何か特別なことをしたわけではなく、ただ好きなものや好きなことについて毎回沢山お話をした、本音を交えてお話しをした、そして基本的なリハビリとマッサージ治療を繰り返し行ったに過ぎません。


 

高齢者を狙った在宅医ビジネス 在宅診療への疑問

私自身が担当したYさんは要介護度が高く、外出することもなく生活のすべては家の中という状態にありましたが、意識がはっきりとしており頭の回転が非常に早い方でした。


Yさんはとても会話に飢えていて、私がはじめてご自宅へ往療した日から会話が盛り上がるという結果になりました。Yさんは淡々と本当に会話を楽しまれていました。


私は特別な会話のテクニックなどを用いたわけではなく、話を聞く、私自身も会話を楽しむということをしていたに過ぎませんが、Yさんにはたまらなくうれしいことのようでした。


そんなYさんも含めて、私が担当してきた患者様、そしてご家族の皆様からは、「儲けるためのビジネス」として在宅診療(訪問診療)を行う医者、事業所の評判は総じてよくありませんでした。


本来は皮膚科などのアルバイトの医者が、血圧と体温を測るだけですぐに帰ってしまうという話は、患者様とご家族からよく聞かれますが、Yさんに対して往診を行っていた医者
もバイタルを測ってすぐに帰る若い医者でした。

担当もころころと変わっていたことから、アルバイトの医者ではないかと思われます。


Yさんは「本当にすぐ帰るし、すぐ違う医者に変わる。話にならない、小遣い稼ぎでしょう」とあきらめていました。その訪問診療所では、私がYさんに介入している3年の間に、5回、担当医の変更がありました。


療養と投薬で安定した状態にある患者のバイタルを測って、1分~5分程度で帰る在宅医を見続けてきましたが (老人ホームでは実際によく見られ、在宅ではお話しとしてよく聞かれます) 仕事として無意味であり、儲け目的以外の何者でもありません。こういった現場を見続けていると、医師や医師会というものは本当にたちが悪いと感じております。


医療保険を使った訪問診療の在り方やシステムについては見直すべきです。多大な税金 (医療費、財源) の無駄でしかありません。

医師の優遇や儲け目的といえども限度があるでしょう。アルバイト医師の無意味なバイタル測定にいくらの税金が流れ続けるのでしょうか。

話を聞く、話をすることは実際に在宅医療として重要であり、効果があるにもかかわらず、往診の件数をこなして儲けるために、2~3名で来て、1分~5分程度で帰る在宅医は非常に多く存在します。

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