リハビリの効果を実感すること リハビリに対する自主性の大切さ

リハビリの効果を実感すること リハビリに対する自主性の大切さ

私自身、在宅、介護のリハビリの現場で働いてきた経験から、リハビリは本人の意思が大事であるということを実感しております。高齢者に対して、あまり真剣に向き合っていない医師や理学療法士は本当に沢山おります。

下記の記事は、高齢者である島田とみ子さんが、自らが病院でリハビリを行っていたときの体験記と合わせて、リハビリの現場について記載しております。


引用元 : 島田とみ子『転んだあとの杖ー老いと障害とー』(未来社・2000年・169頁1行目以下)


私にとってそれは奇跡であった。老化の進んだ手足、胴体、腰のすべてを強く、繰返し動かし続けたリハビリの運動療法が、こんなに確実に私の体を復活させたのに、自分で驚くばかりであった。


72歳という老いの入口に立って、自分の回復力がまだ充分に貯えられているということに、深い喜びを味わった。

「70を過ぎていると回復は望めませんよ」とすげない言葉を吐いて、私を失望させた医師もあった。ところが、リハビリの自主トレや、毎日の散歩という歩きを続けていくうちに、歩ける距離はさらに伸びていった。日常の生活動作も、できる範囲が広がった。

夫は「君は回復力がかなりある方だね」とつぶやいた。彼は常に私を観察して、どこまで直るか、を見ていたのだろう。(原文ママ)

  
  

島田さんは女医の「70を過ぎていると回復は望めませんよ」という言葉に「私を失望させた」と記しています。


しかしこの島田さんの失望について、本書を読んで私が感じたことですが、リハビリテーションセンターの医師に「70を過ぎていると回復は望めませんよ」という言葉をぶつけられる以前から、非常にリハビリに熱心だった島田さんは、すでにリハビリによって目に見えて回復していくことを、自ら十分に実感していたように思います。


リハビリに対する自主性と、リハビリによって回復する実体験をもっていた島田さんは、リハビリテーション施設の専門医である女医が的外れなことを言っていると理解しており、リハビリ専門医に「回復は望めない」という言葉を投げかけられても、腹は立てども揺るがない状態にあったのではないかと思います。


このことから、島田さんの「 (女医が) 私を失望させた」という言葉は、国立のリハビリテーション専門医の仕事ぶりと、その日の診察で得られることを期待した、リハビリに関する専門的な知識への期待に対する失望だったのかもしれません。


しかしこれはあくまで私が感じたことであって、実際には島田さんはリハビリ専門医である女医の言葉によってひどく落ち込んだのかもしれません。


この女医のいい加減な言葉が、リハビリの経験を積んでいた島田さんに対してではなく、高齢で、身体も精神も弱っていて、リハビリや運動の効果を体感した経験が少ない高齢者に対し日常的に投げかけられていることを考えると、その事実はとてもおそろしいことではないでしょうか。


ここでお伝えしたいことは、島田さんがリハビリに対する強い自主性と実体験をもつことにより、周囲の専門医や理学療法士のいい加減な情報や対応に流されず、身体を良い状態に保ったことです。

  
急性期、回復期、維持期に関わらず、リハビリテーションは自主性を強くもった方が良い結果を得られます。

  
私自身も、大怪我から長期のリハビリを得て日常生活に復帰しています。

  
何事もそうかもしれませんが、リハビリは、体験、体感することが、言葉などとは比較にならない意味を持ちます。


リハビリテーションを行う際は、安全を最優先にして、専門家の意見に耳を傾けながら自主性を重んじることで良い結果につながっていきます。

最新情報をチェックしよう!