訪問マッサージビジネスの悪質な実態、認知症患者の選別

儲け目的に特化した訪問マッサージ事業所が「認知症が進んでいる方」や「重度の意識障害がある方」を訪問マッサージ利用者として獲得しようとする理由

まずは下記の記事をご覧ください。

引用元:2018/01/03付 西日本新聞朝刊


審査の限界付け入る?高齢者療養費不適切受給 「出張料を水増し申請」 元従業員告発、署名「認知症の人選ぶ」


高齢者宅や施設への訪問マッサージ事業を巡り、不適切な療養費受給が指摘された福岡市の事業者について、複数の元従業員が西日本新聞の取材に「訪問回数を水増しして出張料を稼いでいた」と証言した。

認知症の高齢者らに、改ざんした書類に署名させるなどしていたという。同事業については全国で不正発覚が相次いでおり、行政審査の限界も指摘されている。


「共犯者になりたくないと、ずっと悩んでいた」。福岡県広域連合に内部資料を提出し、内部告発した元従業員の一人は、自らも関わった「不正」の手口を打ち明けた。


後期高齢者医療制度に基づく訪問マッサージ事業で、事業者が都道府県の広域連合に申請する療養費は、施術料に加え、マッサージ師の移動距離に応じた出張料が含まれる。


複数の元従業員によると、高齢者施設など同じ建物内にいる複数人の高齢者への施術は、マッサージ師1人が1度の訪問でまとめて済ませるケースが多かった。

その場合、1人分の出張料しか取れないことから、申請書では複数人のマッサージ師が訪問したことにし、複数人分の出張料を水増し申請していたという。


広域連合に提出された申請書によると、例えば2014~15年、県内のA施設では10人弱の高齢者に、それぞれ違うマッサージ師が施術したと記されている。


A施設関係者は取材に「特定の1人が1度に施術していた」と申請書の記述を否定。A施設を訪問したと署名があるマッサージ師は「A施設には一度も行ったことがない」と証言した。


申請書作成に必要な高齢者と、視覚障害者が大半であるマッサージ師の認め印の一部は事務所で管理。無断での署名、押印が常態化していたという。

高齢者から署名をもらう場合もあったが、元従業員は「認知症の人を優先的に選んでいた」と振り返る。


元代表は西日本新聞の取材に「広域連合から調査を受けた事実はなく、不適切な申請(と指摘され、約1億6900万円返還)の事実もない。

内部告発の資料は信義性がなく、いやがらせだ。これ以上何も言うことはない」と否定している。


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高齢化で患者が急増する中、訪問マッサージや、はり・きゅうの療養費を巡る不正は後を絶たない。厚生労働省によると、後期高齢者医療制度が始まった08年度から16年11月までの間、不正額は36府県で約5万5千件、約9億5千万円に上る。


審査する広域連合は各市町村の出向職員らで構成する行政機関。福岡県の場合、1カ月に8千件もの申請を処理するとされ、不正を見抜くには限界がある。

「審査が甘いと見透かされ、お金が出る現金自動預払機(ATM)のようにみる悪質な事業者もいる」(関係者)という声も。厚労省は患者が請求を確認できる仕組みづくりなど、不正を防ぐ方策を検討している。

  
不正前提に審査を


佐賀大の畑山敏夫教授(政治学)の話 後期高齢者医療制度の医療給付費の財源は、患者負担を除き、約5割は公費、約4割は現役世代の保険料で賄われている。

不正な申請があることを前提に審査体制を整える必要がある。ぬるいままだと、福祉制度に対する信頼が揺らぐ。

  
  

上記の西日本新聞の記事に記載されている、不正請求を行っていた訪問マッサージ事業所の元従業員による証言に「認知症の人を優先的に選んでいた」というものがあります。


現在、老人ホームなどと業務提携 (老人ホームなどの介護事業所に訪問マッサージ利用者紹介料のばら撒き) を行うことによって患者を獲得している、多くの訪問マッサージ事業所が通常のビジネスとして「患者の選別」を行っています。


儲け目的に偏った訪問マッサージ事業所が「患者の選別」を行う目的は、上記の新聞記事で報じられているような「改ざんした療養費申請書を認知症患者に渡して強引にサインさせるため」だけが目的ではありません。


訪問マッサージ事業者、老人ホーム管理者、ケアマネージャーらが結託して悪質な訪問マッサージビジネスを行うにあたって、認知症患者や重度の意識障害がある患者、およびご家族がそばについていない患者 (老人ホーム入居者) は、どれくらいの時間、誰に、何をされているのか分からない、何のサービスを受けているかも何を契約させらているのかも分からない、過去にされたことも記憶しないために非常に都合のよい存在となることからターゲットになっています。悪質な訪問マッサージビジネスに関わる人間はそのことを一つの軸としてビジネスを行っています。

認知症患者や重度の意識障害がある患者は、悪質な訪問マッサージビジネス行う者やそれに関わるケアマネージャーや老人ホーム管理者の食い物になっています。

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